5人に1人 今や国民病
糖尿病の多くは、ほとんど自覚症状を現さない厄介な病気だ。ひどくなると、初めて「のどが異常にに乾く」「多尿になった」「極度にやせる」などの症状を訴え、さまざまな合併症を引き起こす。そうなると、日常での生活の質(QOL)を著しく損なうだけでなく、時には生命の危険にさらされる。生き生きとした健康的な生活を送るには早期発見と適切な治療開始でいかに合併症を予防するかにかかっている。11月14日は世界糖尿病デー。糖尿病の現状を探った。
「DPP-4阻害剤」登場 治療 新たな段階に
血糖値が高いときはインスリンの分泌を促進させるが、血糖値が低くなるとほとんど作用しない-。従来とはまったく違ったタイプの糖尿病治療薬であるインクレチン関連薬「DPP-4阻害剤」が相次いで登場。治療が新たな段階を迎えている。
DPP-4阻害剤の大きな特徴は、インクレチンという患者自身のホルモンを活用してインスリンの分泌を促す点にある。しかも、低血糖発症のリスクが抑えられ、日本人に多い2型糖尿病患者の治療に効果を上げているという
インクレチンは腸管から分泌され、その一種であるGLP-1は血糖値が上昇すると、膵臓(すいぞう)の細胞に作用して血糖値を下げるように働く。血糖値が低い状況では作用しない。
インクレチン関連薬は去年末に「シタグリプチン」(商品名ジャヌビア)として初めてお目見え。製薬各社が追随した格好で関連薬を相次いで発売、6月には注射剤の「GLP-1受容体作動薬」も登場した。
血液中に分泌されたGLP-1は「DPP-4」という酵素によって瞬く間に分解され、効果を失ってしまう。DPP-4阻害剤はDPP-4の活性をブロックして、GLP-1そのものの働きを持続させる。同受容体作用薬はGLP-1を補って血糖値が下がるように作用する仕組みだという。
DPP-4阻害剤登場1年 県内事情は?
患者の利便性 さらに向上へ
糖尿病治療薬のインクレチン関連薬「DPP-4阻害剤」が2010年12月に登場し、まもなく1年がたつ。かつれん内科クリニック(那覇市)の勝連英雄院長は、DPP-4阻害剤の登場について「血糖値が高くなればなるほど薬の効果が強くなり、低くなれば効果も弱まるという特徴がある。また1日1回でよく、食事と関係なく内服できるなど患者にとっての利便性が向上した」と説明する
従来の糖尿病治療では、服用後に血糖値が下がりすぎる低血糖や、体重が増加する副作用が課題になっていた。勝連院長は「DPP-4阻害薬は単独で使用した場合、低血糖を起こしにくい。体重増加も起こりにくい」と特徴を説明。同院ではこれまでに患者50人以上に処方しているが「あきらかな低血糖はなく、体重増加の症例も少ない。かなりの手応えを感じている。ただ、多剤との併用は低血糖が出やすく、やはり注意は必要」と話す。
これまでの治療薬にはインスリンを無理に出させ、結果的にインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)内のベータ細胞の疲弊を招くケースがあった。しかし、DPP-4阻害剤は動物実験でベータ細胞を増加させることが確認されている。糖尿病患者でも同様の効果が期待される。
発売から1年を経ることで「1ヶ月上の長期処方が可能になり、患者にとっては通院の負担が軽減するだろう」と勝連院長は話している。
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